第1章 モンゾーラ ドルトンとロックンロールで世界を穫る!
第1章 モンゾーラでは、まず僕の伴侶となるヒロインを選定するところから始まる。
最初のヒロインは川で偶然釣り上げたキミ、ロロンド(また間違えた)、ルマンド、ブルボン、ミルトン、ドルトン(やっと出た)、キミに決めた!
というわけで、早速ビルダーの鐘の前でA.M.5:00に待ち合わせ。
「今日もたくさん農作業しようね」
大農園を再興するために日夜汗を流す二人。
だが、僕の知らないところで、ドルトンはひそかに想いを募らせていたらしい。
やがて……、その想いが溢れ出してしまった夕暮れのとき。
「うおおお いぬかい…!!」
ドルトンの真剣な瞳が真っ直ぐに僕を貫いた。
「吾輩ではダメなのか……? いぬかい……」
溢れ出したハートがそこかしこに散らばっている……。
僕は罪な男だ。
だが、僕も男だ。
僕は覚悟を決めた。
ドルトンは感激して、涙を零していた。
そして 二人は
いつしか 深い 眠りに落ちた…。
って、速い、早い、展開が早過ぎるっピ。
ドルトンは僕と二人でやりたいことがあったらしく、
「吾輩、本当はおぬしと、農作業も良いけど、歌手デビューが、したいのだ」
The Japanese Rock'nroll Unit.
D'z がここに誕生した。
しかし、二人の親密な仲を良く思わなかった心の破壊神シドーがドルトンに精神攻撃を仕掛ける。
「オマエみたいな ふんいきだけのヒゲでは 売れない。」
「うっ ぬぐぐぐぐ! シドーめ! 急に出てきたと思ったら おそろしいほどの正論を はいていきおって…!」
ドルトンは心を折られ掛けたが、歌手デビューに向けての志は高く、決意が揺らぐことはなかった。
それに、僕は気付いていた。
ドルトンは思った以上に優秀な男である、と。
彼は歌が上手いだけでなく、「ふんいきだけ」とシドーに言われたヒゲも 島まるまる一つが出来上がるほどの建材を収めることのできる魔法の袋の材料になるのだ。
はっきり言って、このゲームの主人公はドルトンでも良かったのではないか、と思うくらいだ。
『ドラゴンクエストビルダーズ2 ドルトンと無限素材が収まるヒゲ』
というタイトルの方がふさわしかったのではないだろうか。
キャベツのたねもからまるし。
そういうわけで、
僕はドルトンと寝食をともにし、農作業だけにとどまらず、歌手デビューを目指して練習を重ねていった。
もちろん、風呂に入るときだって一緒。
寝るときも二人で一つ、だ。
そうして、ようやく掴んだ、歌手デビュー! (((歌手デビュー)))
「……いぬかい シドー。 あらためて よろしくたのむわね!」
プロデューサーのリズはドルトンの名前を間違って覚えていた。
いやいや、D'zのボーカルは「ドルトン」なんですから、そこを間違えないでくだたいよお。
それはそうと、念願の歌手デビューを祝って、僕はドルトン、キミにプレゼントしたい物があるんだ。
「い、いくら吾輩がヴォーカルになったからといって、いきなりそんなに太いのは……」
「パフォーマンスだって、受けには重要な要素の一つだろ? さあ、身体の余計な力を抜くんだ」
「う、うむ。 ……ぐ、ぐぬぬぬぬぬ!?」
「はぁ、ふん、ほぅ、ふわぁ、うぉぉぉぉ↑おおおおお↑お〜いぇええぃ!!」
ドルトン、渾身のシャウト。魂が揺さぶられる。
これが、ウ・ル・ト・ラ・魂! (((はい!)))
既にドルトンの左手には、大きく太い、立派なマイクが堂々と握られており、早くもその手に馴染んでいることが伺えた。
さすが、伸縮性には定評のあるドルトンだ。
ジャケ写もばっちり撮って、満を持して発表したファーストシングル。
『だからその手でシゴいて』
期待とは裏腹に評判は思ったほど良くはなく、セールスは全く売れないとまでは言わないものの、『そこそこ』のレベルに収まってしまっていた。
やはり、脱穀には少なくとも千歯扱きのような機材が欲しいところであって、それを手でやろうというのはこれから大農園を復興しようという我々モンゾーラの民には少々古臭すぎる提案だったのかもしれない。
「きちんと活動を続けていけば、きっと分かってもらえる日が来る。ブレイクできたら、過去の作品も再評価してもらえるはずだ」
ドルトン、キミは強い。
しかし、ドルトンの言うとおり、しかも、そのときは意外と早くに訪れた。
ファーストミニアルバム『BAD AGRICATION』で、累計10枚を超える大ヒット。
D'zがブレイクした瞬間だった。
『Agrication』というのは『Agriculture』(農業)と『Communication』(意思疎通)とを掛け合わせた造語で、大農園の復興に向けて一石を投じる、まさに時流に乗りまくっていたナンバーたっだ。
これにはトマト農園のオークさんもにっこり。
毎日定刻に流されるモンゾーラ島内放送にも採用され、島中にD'zの、ドルトンの歌声が響き渡った。
その後 ドルトンの 思わぬ美声に みなが酔い いつしか 陽気な歌声が 島中にひびきわたった。
(※ 島中は「しまちゅう」じゃなくて「しまじゅう」です。)
こうしてD'zはモンゾーラを代表する、人気ロックデュオとなったのだ。
しかし、幸せは長くは続かない。
ドルトンは最初から最後までモンゾーラの殿堂入りロックンローラー、スーパースターなヒゲだ。(マリオのことではありません)
だが、僕は、第2章、第2.5章、第3章と、世界を転々と流浪しなければならない身なのだ。
「吾輩だって、分かっておった」
「ドルトン……」
(モンゾーラでの)ラストシングル。
『もう一度キスしてヤった』
フェアウェル、……モンゾーラ。
そして、愛しき人よ、Good Night。
その後、ドルトンと離れてゲームを進めて行った僕は、この世界が幻であって、今まさに消えようとしている、ということを知ってしまう。
そして、さらに、僕は幻の世界に迷い込んだ現実世界の人間であって、ドルトンは幻世界の住人であった、ということも。
「さあ こい! 吾輩が 抱きしめてやる!!!」
せっかく、久し振りに再会できたというのに、
「……と 言いたいところだが 消えかけたこのからだでは おぬしを 抱いてやることもできん」
「ドルトンが僕を抱けないというのであれば、僕がドルトンを抱いてやる!!!」
「お、おう!? うぬ! 分かるっ! 分かるぞお、いぬかい!!!」
こうして、ドルトンは消えかけていた身体を取り戻すことができた。
平和を手にした後、
「もう、売れ行きなど気にせずに、世界の役に立つ歌を皆に届けたい」
というドルトンの提案を受けて、D'zも活動再開とともに路線変更をした。
今やドルトンも、モンゾーラのドルトンではなく、世界のヒゲである。
そうした提案も、とても頷けるものだった。
そうして出来た最新シングルは両A面で、
『からっぽ体操第一』
と、
『からっぽ瞑想第一』
となっている。(好評発売中!)
あ、こんど 青の開拓地でリサイタル・ジムやります!
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